2012年1月17日火曜日

それに一番近い夢

思い立つ時ってありませんか?
真っ白な紙に向かって、新規作成したばかりのテキストに向かって、携帯電話のメモ帳に向かって、何かしら書かなくちゃなって思う時。たまにその『書かなくちゃ』という脅迫にも似た感覚だけで思考が止まってしまって何も書けない時がある。そういう時に、何も書けないまま空白のそれを凝視しながら目線を逸らしながら、これは時間の無駄なんじゃないかと考えながら、最終的に何も浮かばないままそれを閉じる。

僕はそういう時間が好きだ。そこには何も残らないし、『何をしていたの?』と誰かに聞かれたとしたら何も答えられない。
僕はそんな時間が好きだ。
そういう時間に脳味噌の中で積み重なった雑多で無形のそれらは自分でも予測ができないタイミングで急に液体や固体に化ける。とは言っても化けない事もたくさんある。
目的を持たずに何かをアウトプットしようと粘るあいだの無駄な時間が僕にとってすごく重要で、パソコンに例えるなら不要なキャッシュの塊でしかないその情報が、決してパソコンじゃない僕に刺激みたいなのをくれる。
パズルに例えたいのだけど、これはパズルと呼ぶには粗末すぎるもので、無理に例えるとすれば、全く違う規格の全く違う商品のパズル数種類をぐちゃぐちゃに混ぜた状態で、完成図を知らないまま、絶対に合わないピース同士を指で近づけている感じだ。
自分以外の人が思い浮かばない事をしたいな、と考えている人はたくさんいると思う。グーグルの検索に引っかかる言葉より引っかからない言葉の方が多い、そんな世界だ。そりゃ、簡単に独自のトピックを作成できる。
星新一は適当な名詞を書いたカードを二枚引いて、その組み合わせから物語を創作したそうだ。
保坂和志は一日四時間必ず机に向かうそうだ。その四時間は筆が進んでも進まなくても絶対に机に向かい続けるという。
四時間のあいだに筆が進まなくてもその時間に使った脳味噌の動きは重要だ。名詞カードを二枚並べて、ひたすらその言葉について考えている時間は重要だ。たとえ、目的のない創作だったとしても。
僕は僕なりに僕の生活をしていて、仕事や何やらで時間が消費されていく。その中で空いた時間を大切にし過ぎるとたいていうまくいかない。もう少しストイックに姿勢を変えるといいのかもしれないが、どうもそれを維持できそうにない。だから、無駄な時間と閃きと衝動を上手く回していかないといけない。
寝過ぎた時間を寝過ぎた朝を後悔しないように、それでいて僕は限りなくそれに一番近い夢を見るつもりだ。